安息角は気休め!イタリアの農場に落ちてきた巨大な岩が家を大破
オーストリアとイタリアにまたがるアルプス山脈東部の地域チロル(英: Tyrol)のとある農場にとんでもなく大きな岩が落ちてきました。
平屋建ての民家ほどもあるこの大きな岩は、すぐ近くにある山から転がり落ちてきました。岩は山肌を転がりながら、麓にあるブドウ農家を直撃!
幸いにも、この落石事故で負傷は出なかったそうです。
Tramin / Termeno – Felssturz / Frana / Rock fall – Luftaufnahmen Aerial riprese aeree 21.01.2014
土質力学・粉体工学における「安息角」
安息角とは、簡単に言ってしまえばコップに砂を入れてひっくり返した時に出来た「これ以上は自然には崩れませんよ」という三角形の角度のこと。
通常、建築を計画する際には、隣地にある山や崖など高低差のある部分が仮に崩れてきても建築物に被害が及ばないように「安息角」を検討する場合があります。「がけ条例」が制定されている場合にはその地域の条例に従う必要があり、多くの地域で安息角はθ=30°と指定されています。
日本でのがけに関する法律
日本においては安息角に掛かるような建築は原則認められておらず、建築基準法(建基法)には次のように記されています。
- 建築基準法第十九条4項
- 建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合においては、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならない。
建築基準法では「がけ」とは何か、ということについて定義されていませんが、宅造法(宅地造成等規制法施行令)では崖について次のように定義されています。
- 宅造法第一条2項
- この政令において、「崖」とは地表面が水平面に対し三十度を超える角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く。)以外のものをいい、「崖面」とはその地表面をいう。
- 宅造法第一条4項
- 小段等によつて上下に分離された崖がある場合において、下層の崖面の下端を含み、かつ、水平面に対し三十度の角度をなす面の上方に上層の崖面の下端があるときは、その上下の崖は一体のものとみなす。
この農家がそもそも安息角を取っていたかは不明。写真で見る限りでは条件をクリア出来ていないようにも見えますが、こんなに大きな岩が転がってくるのでは安息角ももはや気休めでしかありませんね・・・。
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