性行為可能な人工膣の移植に成功、患者の生体組織から培養
2014年4月11日、BBCはアメリカのウェイク・フォレスト・バプティスト・メディカル・センターが人工膣の作成と患者への移植のパイロットスタディに成功したと発表したことを報じています。
- Doctors implant lab-grown vagina
同センターの研究チームは、2005年から2008年にかけて研究所で作成した人工膣を13歳から18歳の4人のMRKH(Mayer Rokitansky Küster Hauser)患者へ移植し、これまで定期検査を行ないながら正常に機能していることを確認しています。
最初期の患者では最長8年もの定期検査を受診しており、移植した人工膣は構造・機能ともに本来の膣と同様に機能しており、また痛みなどを感じることなく性行為もできるといいます。
マイヤー・ロキタンスキー・クスター・ハウザー症候群(MRKH)とは、性分化疾患の一種で先天性膣欠損症とも呼ばれる。
XX女性で他の性器は通常だが、膣・子宮が欠如している状態。発生頻度は女性の4000~5000人に1人の割合。性自認は全員が女性の自認を持つ。
生まれつき膣や子宮が無い、またはあっても発育不全で正常に機能しないという希少な遺伝子疾患。
作成方法
患者から採取した筋肉と上皮細胞を生分解性材料の上に塗ることで組織を作成し、それを患者の体に合わせて手縫いで膣の形に成形。この段階では未完成ですがこれを体内に埋め込み、足場とします。
埋め込んだ足場には神経や血管が通い始め、徐々に細胞が増えると体組織へ変化します。同時に生分解性材料で作られた足場はゆっくりと体に吸収され、膣を形作りながら新しい臓器へと置換されます。
研究チームは、MRKHの他に子宮がん、事故などで膣を失った場合に使用できるとしています。
現状の弊害を克服
現状、MRKHの対処法の主流は拡張術と膣再建術。再建術は患者の皮膚や腹腔内の組織を再建素材としますが、筋肉組織が無いために膣の縮小などの合併症を引き起こすリスクがあります。
しかし今回の人工膣では、患者の細胞と筋肉組織を使うことで合併症を防ぐことができます。
Vagina built in the lab from patient’s cells
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