「牛乳にカエルを1匹入れると腐らない」!?ロシアのライフハック
ギズモードさんで面白い話が紹介されていたので要約。
冷蔵庫が登場する以前から20世紀までは冷蔵箱(Ice box)がその用を担ってきましたが、ロシアの片田舎では冷蔵箱すらなかったため、代わりに「バケツ1杯の牛乳にカエルを1匹落とすことで牛乳の腐敗を防ぐ」というライフハックがあったそう。
今では迷信とされていますが、ロシアのモスクワ州立大学の有機化学博士アルバート・レベデフ氏(Albert Lebedev)率いる研究チームによるとあながち間違いではないといいます。
ナゾナゾ「ミルクに落ちたカエル」
話は少し飛びますが、イソップ寓話には「2匹の蛙」なんていうお話があります。
2匹のカエルがバケツに溜まった落ちてしまいました。牛乳は深く、壁もツルツルなので出られなくなりました。1匹は諦めて溺れしにますが、もう1匹はひたすらもがいて泳ぎ回った結果、外に飛び出すことができました。
というもの。さてどうやって出ることができたでしょう?答えは最後に。
抗菌・抗生作用を持つカエルの分泌物「抗微生物ペプチド」
本題に戻りましょう。
レベデフ博士が幼少の頃にもその不思議な風習は見られ、博士はそれをキッカケに「抗生物質の源の特定に繋がるかもしれない」と研究を始めました。
2010年には、レベデフ博士よりも前にアラブ首長国連合のUAE大学の科学班がカエルの分泌物に抗菌、抗生作用があることを突き止めています。この分泌物は抗微生物ペプチド(アミノ酸がつながってできた分子の系統群)。 彼らがアフリカ諸国原産種の蛙の分泌物を分離して色んな細菌感染にどう作用するか分析した結果、次のことが判明。
抗生物質が全く効かないとされる「イラクバクター(Iraqibacter)」を北米原産ミンクフロッグ(ラナ・セプテントリオナリス, rana.septentrionalis)の皮に含まれてる成分で根絶できる可能性
頑固で有名なMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を根絶できる可能性
あくまで可能性。
レベデフ博士らはこれを発展させて、合成物を分解して各々のペプチドを調査。2012年11月にその結果を「Composition and Antimicrobial Activity of the Skin Peptidome of Russian Brown Frog Rana temporaria」という論文にまとめ、アメリカ化学会誌ジャーナル・オブ・プロテオム・リサーチに発表しています。
研究では、珍味で食用とされている「ヨーロッパアカガエル( 学名: Rana temporaria)」に電極ショックを与えて分泌物を抽出し、各々特性の異なる76種のペプチドのカクテルを発見。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)元研究員でジョージタウン大学教授を務めるマイケル・ザスロフ氏(Michael Zasloff)はこのカクテルについて、「驚くことに同じカクテルを持つカエルはいない。1匹1匹全部違う。おのおのが遭遇する病原菌に対処できるよう見事に調合されたカクテルを持つ」と語ります。
人間に有益かはまだ不明
しかし、ジョンズ・ホプキンズ大学医学部の劉教授(Jun O. Liu)は、「天然物質の中にはラボでは完璧なのに、人体に応用した途端、まったく効き目のないものや毒になる物質もある」と、必ずしも人間には有益には働かないとしています。
- 冷蔵箱(氷式冷蔵庫, Ice box)
電気冷蔵庫が登場するまで使われていた冷蔵庫。外殻は木製で、内壁は錫や亜鉛製で、断熱材としてその隙間に大鋸屑(おがくず)、コルク、わら等を詰めたもの。ノルウェーなど北欧の寒い地方から輸出された氷を箱の上部に入れて使う。
こういうやつ。
ナゾナゾの正解
なぞなぞの答えは、「もがいている間に牛乳がバターになったので、それを踏み台にした」。何事も諦めずに頑張れよっていう戒めや教訓を込めた童話なんですが、ロシアでこの生活の知恵が実際に使われていたのであれば、寓話はオチの通りにならないってことですかね・・・。
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牛乳は腐ってもチーズかヨーグルトになるから問題ない。