警職法による職務質問は任意!拒否する最善・最強の応対方法を考察

2016/10/19

警職法第2条(第2項及び)第3項に基いて拒否しますここで職質されるのは私にとって不利です。かといって警察署や交番に行く気もありませんし強制もされないはずです、だから拒否します。という主張です。(怪しまれて余計に執拗になるらしいですが・・・。)

もちろん、こう言ったら確実に拒否できるというものではありませんが、頑なに拒否しますぅぅぅ!とだけ言い張るよりはいくらかはマシだと思います。
しかし、これも治安を守る警察官のお仕事なので可能な範囲で協力しましょう。

警職法はたった第8条までしかありませんから、まともな警察官なら一語一句覚えてなくとも、何条にどんなことが書かれているか概要くらいは知っています。
いや、公務執行の上で知っておかなければいけないハズで、知らないなら正に給料泥棒・税金泥棒です。

仮になんて書いてあるの?なんて聞かれたら私ならそれが貴方の仕事なのに知らないんですか?と返すでしょう。たった8条しかない警職法を”つまびらかに読んでいない”警察官にまともな質問や所持品検査=行政調査(任意調査)ができるとは到底思えませんし、本当に警察官なのかすら疑わしいです。

(質問)
第二条  警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
2  その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3  前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
警察官職務執行法 第2条

(意訳)
第2条
1項:警察官は不審者を発見した場合、疑うに足りる相当な理由のある者に対して職務質問することができる。

2項:警察官は次の場合、警察署、派出所又は駐在所に同行を求めることができる。

  • 本人に対して不利な場合
  • 交通の妨害になると認められる場合

3項:上記は(逮捕状が出ている等、)刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄拘束されたり警察署に連行されたり答弁を強要されることはない。

つまり逆にいうと、理由が無いなら警察官は職務質問してはいけないのです。

行政手続法第32条や第35条が使えないか考察してみる

上記で説明したように警職法第2条第3項により拒否しますと言うのが第一段階。
それでも食い下がって、解放してくれない可能性があります。
これは警察官による同条の違反に当たりますし、私なら同条に反しますと反論するでしょう。

しかしこのまま押し問答していてはラチが開かず、だったら最初から質問に応じればいいのにということになってしまいますし、この展開を狙う警察官もいるでしょう。

そこで、行政手続法が使えないか考察してみました。
ここからはちょっとグレーです。何がグレーかというと、定義上、職務質問が行政指導に相当するかという点です。しかし行政手続法3条1項13号を読む限りでは、職務質問は行政指導に該当すると考えられます。

もしこれが正しければ次のような主張ができることになります。

  • 行政手続法第32条に基づき、職務質問の応対を拒否します(後述
  • 行政手続法第35条1項に基づき、目的・理由・責任者の氏名と役職の提示を求めます

条文は次の通りです。

(適用除外)
第三条  次に掲げる処分及び行政指導については、次章から第四章の二までの規定は、適用しない。
十三  公衆衛生、環境保全、防疫、保安その他の公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場において警察官若しくは海上保安官又はこれらの公益を確保するために行使すべき権限を法律上直接に与えられたその他の職員によってされる処分及び行政指導
行政手続法 第3条

(意訳)
第3条
1項:次の場合は行政手続法の規定(第5条から第36条の3まで)は適用しない。
13号:保安に関する事象が起こる可能性がある場合の現場において、警察官などによって行われる処分や行政指導。

(行政指導の一般原則)
第三十二条  行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない。
2  行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
行政手続法 第32条

(意訳)
第32条
1項:行政指導は相手の任意によって成り立つことを肝に銘じないといけない。

2項:行政指導する者は、相手が従わないからといって相手に対して不利益な取り扱いをしてはいけない。

(行政指導の方式)
第三十五条  行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
行政手続法 第35条1項

(意訳)
第35条
1項:行政指導を行うものは、相手に対して次の点を明確に示さなければならない。

  • 趣旨(目的)
  • 内容(理由)
  • 責任者

しかし、行政手続法32条については、現場で完結するのであれば同法3条1項13号により適用出来ない、という風にも読めなくもないんですよね・・・。公益に関わる事象が発生し又は発生する可能性のある現場においてってことは、たとえあなたが善良で事件なんか起こらなかったとしても、警察官がお前は怪しい!だからここは公益に関わる事象が発生する可能性のある現場に相当すると言ってしまえば、そうなっちゃうじゃないですか?

確かに、もし本当に職務質問した相手が犯罪者だった場合は犯人:拒否します→警官:拒否されたら仕方ないというわけにもいきませんから、ある程度乱暴に扱っても許されるという理論は分かるのですが、もしそれが善良な市民に向けられた場合、市民の処遇が警官の良心に左右されるというのは不健全だなーと思うんですよ。目的達成のための警察比例の原則強制処分法定主義とで難しい問題だとは思うんですけどね。

警察署までご同行願えますか、と任意同行を求められた場合には行政手続法が使えるのではないか?

直前の話では現場で完結する職務質問なら行政手続法32条は使えない、つまり、現場から移動することになる任意同行なら行政手続法の35条は適用できるのではないかと思うんです。任意同行先の警察署や交番は現場ではありませんから。
その場合、私ならこう言うでしょう。

  • 行政手続法32条に基づき、任意同行を拒否します
  • 同法第35条(1項、2項及び)3項に基づき、(根拠となる法令の条項、規定する要件、適合する理由について)書面での交付を求めます

条文は次の通りです。

(行政指導の方式)
第三十五条  行政指導に携わる者は、その相手方に対して、当該行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を明確に示さなければならない。
2  行政指導に携わる者は、当該行政指導をする際に、行政機関が許認可等をする権限又は許認可等に基づく処分をする権限を行使し得る旨を示すときは、その相手方に対して、次に掲げる事項を示さなければならない。
一  当該権限を行使し得る根拠となる法令の条項
二  前号の条項に規定する要件
三  当該権限の行使が前号の要件に適合する理由
3  行政指導が口頭でされた場合において、その相手方から前二項に規定する事項を記載した書面の交付を求められたときは、当該行政指導に携わる者は、行政上特別の支障がない限り、これを交付しなければならない。
4  前項の規定は、次に掲げる行政指導については、適用しない。
一  相手方に対しその場において完了する行為を求めるもの
行政手続法 第35条2項

(意訳)
第35条
2項:行政指導する者が権限を行使する場合、相手方に次の事項を示さなければいけない。

  • 1号:権限行使の根拠となる法令の条項
  • 2号:その条項に規定する要件
  • 3号:当該権限の行使が前号の要件に適合する理由

3項:上記の内容について書面での交付を求められた場合、支障がない限り交付しなければならない。

4項:でも次の場合は交付しなくてもいい。

  • 1号:相手方に求める行為がその場で完了する場合(職務質問に応えてもらうとか、車のトランクの中を見せてもらうとか)

ちょっとややこしい表現ですが、要するにこうです。
職務質問に遭遇しただけではその行政指導が現場で完結するので第35条3項に基づく書面の交付は要求出来ない。ただし、任意同行を求められたら現場では完結しないので書面の交付を要求できる。