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車線変更禁止区域でサイレンを鳴らしながら覆面パトカーに後ろからパッシングされた!どうすりゃいいのさ・・・

先日、日本のサンキューハザードの発想が海外に衝撃を与えている話を紹介しましたが、サンキューハザードに限らず感謝の意を表すパッシング(headlight flashing)やクラクションは慣習から生まれたものであり、道路交通法に則るならば正しい使用法とは言えず、関東・関西など地域による若干の違いでトラブルの原因となるケースもあります。ですから、パッシングやハザードの正確な使い方と意味を知ることは非常に重要で、事故を減らす一策にもなるので覚えておくべきです。
例えば、車線が黄色の実線である車線変更禁止区域でサイレンを鳴らしながら覆面パトカーに後ろからパッシングされたとしたら、あなたはそのパッシングの意味をどう捉えて、どのように行動しますか?

flickr : See-ming Lee

パトカーにパッシングをされた事例

先を急いでいる後続車両が道を譲って欲しい場合、追い越し車線を走る前方の車に対して後ろから右ウィンカーを出す人もいますがこのウィンカーの使い方は誤りです。
前方車両に対する追い越しの催促について調べてみると、yahoo知恵袋に正しい使い方とこんな面白い体験談がありました。

高速道路で追い越し車線を走り、トンネルに入りました。
ずーっと後ろのほうからサイレンを鳴らした覆面パトカーが走ってきました。
すると前のトラックを含め周囲にはトラックばかりだったのですがみな左車線に入っていくのです。私は後ろにつかれたまま追い越し車線を走り続けました。なぜなら車線変更禁止だったからです。
そのうちにその覆面パトカーはパッシングしたりスピーカーでワーワー言い始めました。
私はいったい何をしでかしたんでしょう。

サイレンを鳴らしているので緊急車両だということです。車線変更禁止を優先している場合ではありません。緊急車両が近づいたらすぐに道を譲りましょう。
つまり、「早く道を譲れ~~!」という合図だったんですね!

via:覆面パトカーにパッシングされたけど、意味が分かりませんでした…。

こんな場面に遭遇したら一体どうすればいいのか分からなくて頭が真っ白になってしまいそうですが、車線変更禁止区間内であったとしても緊急時に於いてはその限りではないということなんですね。

警察がおこなっている=法的に正しい行動、という考え方は決してあってはいけない論理ですが、警察官は職務を遂行するにあたって遵法を心がけていて、車での逃走犯を追跡する時でも制限速度を守りますし(最高速度の特例)、現行法の許容するパッシングの使い方についても熟知しているはずです。

道路交通法を読み解く

そうなると法的根拠が欲しいですよね。ということで非弁護士なりに調べてみました。

車両通行帯境界線が黄色の実線(車線変更禁止)の片側2車線の高速道路のトンネル内で、後ろからパトカーが来てパッシングされて道を譲るように促された時、黄色の実線を無視して車線変更しても良いか

法文中で確認したかったのは次の点です。

  1. 車線変更禁止区間に於ける追い越しを目的としない車線変更は適法か
  2. ただし緊急車両に道を譲る時は他の特定の法令を無視していい、といった主旨の但し書きの存在の確認
  3. パッシングで進路を譲るように催促することは適法か
第三十条  車両は、道路標識等により追越しが禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、他の車両(軽車両を除く。)を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない。
道路交通法

最初はこれかな?と思ったんです。でもこれは、追い越し禁止区間では車線変更してはいけないとは書いていないだけであって、車線変更禁止区間での話ではありませんでした。

次に調べたのが緊急自動車に関連する条文です。

(緊急自動車の優先)
第四十条  交差点又はその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ。)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となつている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあつては、道路の右側。次項において同じ。)に寄つて一時停止しなければならない。
2  前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄つて、これに進路を譲らなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号)
道路交通法

交差点とその周辺以外で緊急自動車が接近してきたときは進路を譲らなければならないとあります。しかも譲らない場合は罰則(車両の大きさによって6000円から10000円の罰則金)の対象になります。 これを読むと、じゃあ、そのためなら黄色の実線をまたいでもいいのか?という疑問が生じます。

(進路の変更の禁止)
第二十六条の二
3  車両は、車両通行帯を通行している場合において、その車両通行帯が当該車両通行帯を通行している車両の進路の変更の禁止を表示する道路標示によつて区画されているときは、次に掲げる場合を除き、その道路標示をこえて進路を変更してはならない。
一  第四十条の規定により道路の左側若しくは右側に寄るとき、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためその通行している車両通行帯を通行することができないとき。
道路交通法

つまり逆に言えば、緊急自動車を優先させる目的であれば、その道路標示をこえて進路を変更しても良い、と読めます。

車線変更に関してはこの時点で解決はしているのですが、下記条文でも緊急自動車の優先に関する特例が記載されていたのでオマケで載せておきます。

(左折又は右折)
第三十四条  車両は、左折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。
2  自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。
4  自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、一方通行となつている道路において右折するときは、第二項の規定にかかわらず、あらかじめその前からできる限り道路の右側端に寄り、かつ、交差点の中心の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。

(指定通行区分)
第三十五条  車両(軽車両及び右折につき原動機付自転車が前条第五項本文の規定によることとされる交差点において左折又は右折をする原動機付自転車を除く。)は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により交差点で進行する方向に関する通行の区分が指定されているときは、前条第一項、第二項及び第四項の規定にかかわらず、当該通行の区分に従い当該車両通行帯を通行しなければならない。ただし、第四十条の規定に従うため、又は道路の損壊、道路工事その他の障害のためやむを得ないときは、この限りでない
道路交通法

高速道路のように直進している状態に限らず、右左折等のレーンに入って普段なら車線変更が禁止されている場合でも、緊急車両を優先させたりする場合なら線をまたいでも構わない、とあります。

(車両通行帯)
第二十条  車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
2  車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
3  車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項、第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
道路交通法

緊急自動車を優先させるためなら、車線変更だけではなく追い越しも認められるようです。まぁその状況で何を優先させるべきかを常識で考えればそうなりますよね。法律は、一般的な良心に従った時にその行為が適法となるように作られています。じゃなければ法律に不備があるということです。

あと、肝心のパッシングそのものは合法か?の点については道路交通法施行令道路交通法施行規則も調べてみたのですが、特にそれらを禁止するような記載は見られませんでした。基本的に、禁止する旨の記載がないということはおこなってもOKということですが、条文が見つけられなかっただけなのかな・・・。

正しいパッシングの意味

そもそもパッシング(Passing)とはカーレースで後続車が前車をかわして先に行くことを表し、オーバーテイクやオーバーテイキング(overtaking)と同義で通過・追い越しという意味を持ちます。
パッシングは追い越したい車や離合で優先的に進みたい車が使用する合図ですが、離合地点で道を譲る側が使用するなどの誤用が見られます。

本来は、自車が先行車に追い付いた際に「先に行きたいので進路を譲って欲しい」という意思表示として使用する。

ただし、強い光の点滅によって「邪魔だ、そこをどけ」という高圧的な印象を相手に与える場合が多く、クラクションと同様に傷害事件などに発展するなど、思わぬトラブルの原因になる場合がある。このため、一番右の車線においては右のウィンカーを点滅させることで代用することがある(本来の方向指示器の用法ではない)。

パッシングを誤用する例
  • 道を譲ってくれてありがとう
  • お先にどうぞ
  • この先にねずみ捕りがいるよー
  • ヘッドライト点けっぱなしですよー

などなど、その時々に応じて慣習としてのパッシングは様々な意味を持ちますが、本来、1つの合図は1つの意味しか持たないことが理想的です。 みなさんは、パッシングの本当の意味を知ってましたか?

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