IQが高い賢い人ほど怠惰であることが判明

2017/02/06

思考を働かせているIQの高い人ほど怠惰で怠けた生活を送っているという研究結果が発表されました。これだとちょっと矛盾を感じたり語弊があるかもしれませんが、より多くの時間を思考に費やす知的好奇心が旺盛な人ほど物理的には非活動的だといいます。

flickr : TRF_Mr_Hyde

Laziness is a sign of intelligence: Researchers say people who spend more time thinking are less physically activedailymail
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-3732149/Laziness-sign-intelligence-Researchers-say-people-spend-time-thinking-physically-active.html

Are brainy people lazy? “Need For Cognition” correlates with less physical activityBritish Psychological Society
https://digest.bps.org.uk/2016/08/06/are-brainy-people-lazy-need-for-cognition-correlates-with-less-physical-activity/

フロリダ湾岸大学のTodd McElroy氏率いる研究者らは、アンケート結果によって被験者である学生を思考型の30人と非思考型の30人とに区別し、彼ら60人の1週間の行動をアクチグラフィデバイス(actigraphy device)と呼ばれるウェアラブルデバイスを使って監視しました。その結果、非思考型に比べて思考型の学生の方が座りがちな生活で、非活動的であることが判明しました。つまり、IQの高い人は出不精になりがちだというのです。

アクチグラフィデバイスとは、センサーを用いて加速度圧を測定・感知することで装着者がいつ寝たのか、いつ起きたのか、などの活動を記録・把握するための装置のこと。

これに関する先行研究の結果は2015年1月20日付けでフロリダ湾岸大学とアパラチアン州立大学によって公開された学術記事においても記されています。

The physical sacrifice of thinking: Investigating the relationship between thinking and physical activity in everyday life Journal of Health Psychology
http://hpq.sagepub.com/content/early/2015/01/20/1359105314565827.abstract

この研究結果に於いても、思考型の活動量は非思考型に比べて少なく、その活動量の差異は週末には小さくなると報告されています。

調査方法

アンケート内容は以下のようなものです。質問は合計で18項目あり、-4点~+4点までの9段階で自己評価をつけてもらいます。最大合計得点は72点で、最低合計得点は-72点です。

  • 私は単純な問題よりも複雑な問題を好む
  • 私は多くの思考を必要とする状況の処理を好む
  • 私は、確実な事よりも、やや思考を要する事に挑戦する
  • 私は長時間の熟考に満足を見出す
  • 私は長期的な思考よりも、短期的で小さい事に関する思考を好む

そして、これら18項目の質問のうち、以下のような9項目については逆採点が行われます。つまり、被験者が+4とした場合、実際には-4点と採点されます。以下の引用文の文末にアスタリスク(*マーク)が付いているものです。

  • 思考が楽しいとは思わない
  • 私は何か深く考える必要性に迫られるような状況を予測回避しようとする

聡明な人は外出しなくても自発的に脳に刺激を与えることができる

思考型に分類されるようなIQの高い賢い人は、自宅の椅子に座りっぱなしであったとしても、常に自分の思考が自分の脳を刺激し続けるため、退屈を感じないといいます。また逆に、非思考型の人は退屈を満たすために外出し、身体的活動によってその退屈を埋め合わせるといいます。

知的な人は人付き合いが多いと幸福度が下がる

思考型の人々のうち、人口密度の高い地域に住み、他人との交流が多い人ほど生活満足度・幸福度が低下すると報告されています。

研究者たちは人類の草創期を作り上げた要因であるサバンナの理論は、現代における幸福へのルートにも当てはまる。と提案しています。

彼らの言うサバンナの理論とは、人類がかつて生活していた森が大地溝帯の形成に伴うサバンナの拡大によって失われ、人類がサバンナで生活せざるを得なくなった結果、二足歩行を始め、叡智を身につけたことを指しています。