妊娠中のお化粧は胎児のIQ(知能指数)が低下する原因になるとの研究結果
妊婦が化粧をすると、その化粧品に含まれる人工化学物質が胎児のIQ(知能指数)に悪影響を与えるとの研究結果が示されました。
そしてその人工化学物質は化粧品のみならず、家庭用品の至るところに使用されているといいます。
この調査結果はPublic Library of Science社より刊行の科学誌PLOS ONE(プロスワン)に掲載されました。
- Persistent Associations between Maternal Prenatal Exposure to Phthalates on Child IQ at Age 7 Years|plosone
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0114003
- Exposure to beauty chemicals is linked with lower IQ in children, study claims
家庭用品に多用されるフタル酸エステル類
Pam Factor-Litvak氏, Beverly Insel氏ら率いるコロンビア大学などの研究チームによると、化粧品に含まれていて赤ちゃんのIQを低下させるのは「フタル酸エステル類」という人工化学物質。
フタル酸エステル類とは、フタル酸(オルト体)とアルコールのエステルの総称。
マニキュア、ネイルポリッシュ、塩ビ系床材、シャワーカーテン、化粧品、ヘアスプレー、塗装剤、希釈剤、接着剤などに含まれています。
成分 | 含有する製品の一例 |
---|---|
DnBP | 印刷インク |
BBzP | 接着剤 |
DiBP | ネイルポリッシュ |
DEHP | 壁紙 |
DEP | 化粧品 |
これは一例であり、化粧品にはDEP以外のフタル酸エステル類が含まれています。
調査方法
ニューヨークの都心に住む328組の未就学児の母親の妊娠後期の尿中代謝物濃度を測定。
そしてその子供には、"子供のためウェクスラー知能スケール (WISC)"を用いて知能テストを実施しました。
2種類のフタル酸エステル類でIQの低下を示唆
その結果、DnBPとDiBPの2種のフタル酸エステル類に晒された胎児ほど知能指数が低下する傾向にあることを発見。
低被曝者に比べて上位25%の高被爆者の母親の子たちはIQがそれぞれ6.6ポイントと7.6ポイント低いスコアとなり、7歳時点で平均IQスコアが6ポイント以上も押し下げられていることが分かりました。
また推論、記憶力、処理速度にも影響し、喘息リスクが最大で78%上昇することが判明しました。
筆頭著者の1人Pam Factor-Litvak博士は、「フタル酸エステル類は製品ラベル上で表示する必要はないが、脳の発達に影響することから幼児のおもちゃにフタル酸エステル類の含有を禁止する規制や動きは見られる。しかし胎児の暴露・被曝を規制する法律はない。」とコメント。
Robin M. Whyatt博士は、「IQが6~7ポイントと大きく下がると、学業や職業の可能性にも影響が出てくる。」とコメントしています。
現代社会において化学物質を全て排除することはなかなかに難しいことですが、せめて可能な範囲で気をつけた方が良いのかもしれませんね。
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