金融危機の負の連鎖はトレーダーのストレスが引き金!?


ストレスホルモンの1種コルチゾールの分泌レベルが継続的に高くなると、リスクを回避する行動が促される可能性があるとの研究結果が、全米科学アカデミー(PNAS)ジャーナルに掲載されました。

この結果に基づくと、金融市場のボラティリティーは、これまで考えられていた以上にトレーダーのストレスのレベルに関連している可能性があります。

ボラティリティー
ボラティリティ(volatility)とは、金融工学において資産価格、値動きの変動の激しさを表すパラメータ。変動率を示す。

ロンドンのトレーダーを対象に実施した過去の調査と、コルチゾールが行動に及ぼす影響に関する研究室での実験結果を合わせて分析した結果、ストレスによってトレーダーの警戒感が増し、金融市場の状況を悪化させる可能性が示唆されました。

これまでの定説では、トレーダーのリスク志向は市場の動向に影響されないとされていましたが、この想定を覆す結果が得られたことになります。

研究チームを率いた神経科学者のジョン・コーツ博士(Dr John Coates)
「こうした慎重になる傾向は市場の安定を損ねる要因としてあまり認識されていない。この研究で明らかになったのは、ほとんど認識されていないストレスレベルの変化が、リスクを取る行動に実際に影響を及ぼすということ」

コーツ博士はゴールドマン・サックスとドイツ銀行の元トレーダーで、現在はケンブリッジ大学で神経科学・金融学の研究を行っています。
彼は、トレーダーだけでなく中銀当局者など金融業界の誰もこのことを理解していないのは恐ろしいと指摘。

2007年から2009年に起こったリーマンショックの際に米国市場では、ボラティリティが12%から70%にまで急上昇していました。

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経済,研究

Posted by とざなぼ