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改正道路交通法施行、自転車の追い越し・すり抜けについて法律文を調べてみた

2015年6月1日(平成27年6月1日)施行の道路交通法の車両追い越しについてネットで話題になっています。

「死ぬぞこれ」とか「迷惑すぎる」とか騒がれてるんですけど、本当なのかな?って不思議に思ったので自分なりに調べてみました。

2015年6月1日に改正道路交通法が施行された

参考にした資料は以下。
条文以外は自転車=チャリと表現します。(自転車と自動車が紛らわしいので)

道路交通法
(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S35/S35HO105.html

道路交通法の改正のポイント
自転車の運転による交通の危険を防止するための講習に関する規定の整備
http://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html

2015年6月1日施行の内容は罰則規定が強化されただけであり、チャリの追い越し方法が法文として変更になったということではありません。
警察「元々そういう法律だったけど、チャリに対しては目をつむって来た。けどこれからは取り締まるよ。」ということです。
2009年以降の施行内容と施行日は次の通り。(時系列)

  • 2009年(平成21年)4月17日
    • 高齢運転者標識(もみじマーク)の表示義務化は、罰則のない努力義務に戻された。
    • 高齢者と障害者、妊婦専用の駐車区間を設けることができるようになった。
    • 高速・自動車専用道でのあおり行為(車間距離保持義務違反)の罰則を「5万円以下の罰金」から「3月以下の懲役か5万円以下の罰金」に強化した。
  • 2014年(平成26年)9月1日
    • 環状交差点での通行ルールが決定。(定義・交通方法など)
  • 2015年(平成27年)6月1日
    • 自転車の交通違反について、罰則規定の強化。
wikipedia
▼自転車運転者講習の受講命令の要件となる危険行為(14項目)
  1. 信号無視(法第7条違反)
  2. 通行禁止違反(法第8条第1項違反)
  3. 通行区分違反(法第17条1項、第4項又は第6項違反)
  4. 路側帯通行時の歩行者の通行妨害(法第17条の2第2項違反)
  5. 遮断踏切立入り(法第33条第2項違反)
  6. 交差点優先車妨害等(法第36条違反)
  7. 交差点安全進行義務違反等(法第37条違反)
  8. 指定場所一時不停止等(法第43条違反)
  9. 歩道通行時の通行方法違反(法第63条の4第2項違反)
  10. 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転(法第63条の9第1項違反)
  11. 酒酔い運転(法第65条第1項違反)
  12. 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)(法第9条違反)
  13. 環状交差点安全進行義務違反(法第37条の2違反)
  14. 安全運転義務違反(法第70条違反)
枚方市HP

車両(チャリや自動車)の追い越しについて

ここからが本題。
チャリが、チャリや自動車などの車両を追い越すとき、斜線の右側を越えて追い越さなければならくなったとする旨が話題になりました。

自転車の道路交通法
http://law.jablaw.org/rw_passv

「まさか、そんなおかしな話あるわけない!」と思って調べてみたんですが、(法文をクソまじめに受け止めるとしたら)事実でした

ここで注意すべきなのが、チャリに対する自動車の運転方法についても波及する可能性があるということ。
警察が自動車に対してまでどこまで対応を変えてくるのかは分かりませんが、チャリにイッパシの車両の立場を求めているわけですから、可能性としては十分にあり得ます。

自分なりに調べた条文と意訳を以下に示したいと思います。原文内のリンクはカーソルを合わせるとその条文のテキストが表示されるようにしました。全部ここに提示すると長大で紛らわしくなるので。
条文の直下に意訳を載せています。

(通行区分)
第十七条
5  車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、道路の中央から右の部分(以下「右側部分」という。)にその全部又は一部をはみ出して通行することができる。この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
二  当該道路の左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
四  当該道路の左側部分の幅員が六メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき(当該道路の右側部分を見とおすことができ、かつ、反対の方向からの交通を妨げるおそれがない場合に限るものとし、道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されている場合を除く。)。
道路交通法 第17条5項

意訳
第17条
5項:原則、車両はどんな道路でも道路の左半分を走らないといけない。で、片側一車線とか車線がない道路を走るときは、一方通行を除く次の場合は線の有無に関わらず道路の中央を越えていいよ。でもなるべくハミ出さないようにね。

  • 2号:道路が狭いとき
  • 4号:道路(歩道は除く)の左側半分の幅員が6メートル未満で他の車両を追い越すとき

まぁこれは普通に誰もが感覚的にも「そうだよね」と思う内容だと思います。
次が問題。

(車両通行帯)
第二十条  車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
2  車両は、車両通行帯の設けられた道路において、道路標識等により前項に規定する通行の区分と異なる通行の区分が指定されているときは、当該通行の区分に従い、当該車両通行帯を通行しなければならない。
3  車両は、追越しをするとき、第二十五条第一項若しくは第二項第三十四条第一項から第五項まで若しくは第三十五条の二の規定により道路の左側端、中央若しくは右側端に寄るとき、第三十五条第一項の規定に従い通行するとき、第二十六条の二第三項の規定によりその通行している車両通行帯をそのまま通行するとき、第四十条第二項の規定により一時進路を譲るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、前二項の規定によらないことができる。この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。
   (罰則 第百二十条第一項第三号、同条第二項)
道路交通法 第20条

意訳
第20条
片側2車線の場合、右折とか追い越しとか用がない限りは左側の車線を走ること。3車線以上の場合は1番右以外の車線を速度に応じて使い分けてね。
2項:例えば「トラックは一番左走れ」とか標識で決められたらそれに従ってね
3項:でも次のときは標識の指示には従わなくていいよ

  • 追い越しするとき
  • 右左折とかするとき
  • 他に何かそれなりの理由があるとき

それで、これまでの話の流れで2車線以上あるときにに限った話だけど、車両が追い越しするときは右隣の車線に車線変更して追い越ししてね。車両ってのはもちろん軽車両=チャリも含まれるよ。

という解釈で読みました。

一見、チャリの立場からするとぶっ飛んだ法律に見えるんですが、私はそこまでは思いません。理由は次の通り。

  • チャリの法定最高速度は時速30 km(実際は無い:後述
  • 追い越しするとなると、追い抜かれる車はせいぜい時速10 km~20 kmということになる
  • 普段、時速30 km以上で走ってる自動車を追い越すというのはそもそも現実的ではない
  • チャリを追い越すにしても、普通は片側2車線以上の道路には歩道もあるから、ヤバイと判断したら歩道を走ればいいじゃない?
(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四  普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一  道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二  当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三  前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2  前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
   (罰則 第二項については第百二十一条第一 項第五号)
道路交通法 第63条の4

意訳
第63条の4
チャリは次の場合なら歩道を走れる。ただし警察官等がいたらその指示に従うこと。

  • 1号:チャリ走行OKの標識があるところ
  • 2号:例えば子供達を保育園や幼稚園へ送り迎えする場合に、チャリに乗ったママが後ろの席に乗せた子供にとって危険と判断したとき
  • 3号:その他、状況からしてやむを得ないと認められたとき

2項:歩道に「チャリはここ通れ」って標識がある場合はそこを徐行。歩行者の邪魔になるときは一時停止すること。「チャリはここ通れ」の標識があっても歩行者がいなかったら、状況に応じた安全な速度と方法で走れる。

1番問題を抱えるのはチャリ側ではなく、追い越しをしているチャリの後ろにいる自動車なのではないかと。
例えば片側2車線の道路でチャリ同士の追い越しが始まったら、追い越すチャリは右車線にくるわけで、その間、後ろの全ての自動車はそのチャリを追い越せなくなってしまいます。渋滞の要因にならないのか心配。
とは言っても後ろから来る車に迷惑を掛けているので、この場合「第26条の2に抵触しているため、チャリは車線変更してはいけない」といった方が正確でしょうか。

(進路の変更の禁止)
第二十六条の二  車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2  車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
道路交通法 第26条の2

意訳
第26条の2
車両は、特に理由もないのに進路変更してはいけない。
2項:後ろから来る車が速度や進路を変えなければならなくなるような進路変更をしてはいけない。

結論を言うと、そんなにビクビクしなくていいということ。
「こっちの方が安全だ」と本気で思うならその心に従い行動すればいいんです。
19世紀ドイツを代表する公法学者ゲオルグ・イェリネック法は倫理の最小限って言ってます。

交差点の信号機で停まっている自動車の左側を原付バイクや自転車ですり抜けてもいいのか

信号待ちや渋滞で停車している車の左側をすり抜けるのは法律的にどうなんでしょう?
同法第32条を根拠に、道路交通法違反だと主張する人もいます。

しかし私が読む限りでは、次のように解釈できました。

(割込み等の禁止)
第三十二条  車両は、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため、停止し、若しくは停止しようとして徐行している車両等又はこれらに続いて停止し、若しくは徐行している車両等に追いついたときは、その前方にある車両等の側方を通過して当該車両等の前方に割り込み、又はその前方を横切つてはならない。
   (罰則 第百二十条第一項第二号)
道路交通法 第32条

意訳
第32条
前に停まってる車を抜くだけならまだしも、車の前後に割り込んだり、車の前後を縫うように走ったらアウト。
だけど、側面を通るだけならセーフ。
勿論これは停車中限定で、徐行や走行中なら進行妨害にあたるおそれがあるので、状況によってはアウトになる可能性が高い。

「割り込み」、「横切り」とは、後方の車両が直進した時に接触する状況だと思うんです。
都合よく解釈するつもりもなく、純粋にそう読めるんですがどうでしょう?

進行妨害の定義は次の通り。

(定義)
第二条
二十二  進行妨害 車両等が、進行を継続し、又は始めた場合においては危険を防止するため他の車両等がその速度又は方向を急に変更しなければならないこととなるおそれがあるときに、その進行を継続し、又は始めることをいう。
道路交通法 第2条22号

意訳
第2条
22号:進行妨害っていうのは、周囲の車両が速度や方向を急に変更しなければならくなるような動きを始めたりし続けること。

ちなみに本職の方に聞いてみても「セーフだと思うよ。車線変更禁止レーンで線を跨いじゃうとかだとアウトだけど」とのことでした。実際には周囲の状況等によるので、一概には言えない話というわけです。
ということで誰か人柱お願いします!

上記で自転車の最高速度が30 km/hと紹介してしまいましたが誤りで、基本的に制限はなく道路標識のある所では標識で規制する速度まで。
(道路交通法第2条1項8号・11号、第17条の2、第22条、第118条、道路交通法施行令第11条による)

お詫びして訂正します。

「改正道路交通法施行、自転車の追い越し・すり抜けについて法律文を調べてみた」への1件のフィードバック

  1.  道路交通法20条3項の解釈に誤りが見られます。
     「この場合において、追越しをするときは、その通行している車両通行帯の直近の右側の車両通行帯を通行しなければならない。」の「この場合」というのは前2項の規定によらずに追越しをする場合(つまり自転車の場合は左側端から数えて一番目の車両通行帯をはみ出しての追越しをする場合)を指します。そうすると、「この場合において」以下は、要するに「1番目の車線をはみ出して追越しする場合は2番目の車線は使ってもいいけど3番目の車線に入るのはダメですよ」ということを定めるものであり、1番目の車線内での追越しを禁ずるものではありません。つまり、「車両が追い越しするときは右隣の車線に車線変更して追い越ししてね。」ということにはならず、1番目の車線内で追越しをしてもよいのです。
     なお、進路変更は一般的には車線の変更を伴うものと考えられていることが多いようですが、法律上必ずしも車線変更を要するものではなく、1番目の車線内でも進路を変更して側方を通過し前方に出た場合は「追越し」です(道路交通法2条21号)。確かに実質的には自動車の場合は幅のせいで進路変更すれば車線変更になることが多いですが、自転車のように幅の小さい車両であれば進路変更は必ずしも車線変更にはならないのです。
     長文失礼致しました。

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