お風呂シャワーの排水熱を給湯を再利用する「EcoDrain」

2016/05/05

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浴室でシャワーを浴びた時、シャワーヘッドから出たお湯は人間の体の表面を一瞬だけ流れた後、すぐに排水溝へ流れていきます。これは水だけではなく熱エネルギーの大きなロス。
「EcoDrain」は、熱エネルギーがたった数秒で下水道へと流れるこの問題を改善するエコロジー商品です。

EcoDrainは下水管を通る排水熱を吸収して給湯へ再利用するシステムです。
排水口と排水トラップの先で水平に設置されたEcoDrainは、流れるお湯の熱を吸収し、その熱を使って上水道を流れる新しい水を過熱します(図のDouble Wallの部分)。ただし、このサイクルだけでは10℃(50°F)の冷水は30℃(86°F)までしか加熱することができないため、給湯器で沸かしたお湯と併せて使うことになります。
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エコドレインは、他にも既に実在するドレン熱交換器と基本的には同じことを成しており、このシステム自体はとりわけ真新しいわけではありませんが、大きく改善された部分が2箇所あります。

ひとつは設置する向きの改善。
従来品は垂直に設置するタイプが多く、共同住宅や一戸建て住宅といった一般家庭のような床懐(ゆかふところ)が小さい建造物では物理的に設置が不可能であったこと。EcoDrainは水平設置でその問題を解決しています。

もうひとつは熱効率の大幅な上昇。
従来品では熱を吸収する部分に到達するまでにお湯が冷えて水となり、取り出す熱量が小さかったのですが、EcoDrainはドレン熱交換器を使用してしない時に比べて熱効率を33%向上させることができるといいます。

中には「たった33%か」と思う人がいるかもしれませんが、10℃の水を30℃へ20℃も加熱できるこれは非常に大きな数値です。なぜなら、"浴室だけで完結する"とごく単純に考えた場合、吸熱する水と加熱する水が同量なら遷移することができる熱エネルギー遷移の限界は冷水と温水の温度差の半分である50%だからです。
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これを上回るためにはマクスウェルの悪魔にでもお願いする必要があります。

How to save energy in the shower with ecodrain

数年前から開発が続けられてきたこの商品は2013年12月にアメリカ国内の建築基準の承認を受けており、既に発売もされているといいます。
本体の販売価格は439.95ドル(約45000円)とのこと。新築に設置されていたら良いのですが、リフォームなら施工費用がいくらになるか・・・。ですが、もし本当に熱効率が33%もアップする上にエコロジーに貢献できるならちょっとくらい高くても試す価値はあるかもしれませんね。

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