「プリンス・ラパートの滴」、不思議なガラス破砕の瞬間(ハイスピードカメラ映像)

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熱して溶かしたガラスを水中に落とし、急速に冷却して作るガラス「プリンス・ラパートの滴(Prince Rupert’s Drops)またはオランダの涙(Dutch tears)」を破壊する瞬間を捉えた動画をご紹介します。

この動画では「Phantom V1610」というハイスピードカメラを使って破砕の瞬間を撮影し、スローモーション再生によりガラスの中で何が起こっているのかを解明しています。

「Mystery of Prince Rupert’s Drop at 130,000 fps」

一部を破壊すると全てが爆発する仕組み

ハンマーで叩いても割れない頑丈なガラスですが、尻尾など一部を折ってしまうと他の部分まで全てが木っ端微塵となります。

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しかし、ハンマーの衝撃そのものが破壊を引き起こしているわけではないのです。

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どういう仕組みなのでしょうか?

凝固したガラス
冷えたガラス
熱いガラス

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熱いうちは溶融したガラスが自由に流動的に動き回っています。

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水で急激に冷やすと初めに表面だけが凝固し、徐々に中心部分も凝固していきます。

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水中に落ちた溶融ガラスはオタマジャクシの尾が細長くなったような滴型になり、滴の内部が熱いまま外側だけが急速に冷却されます。

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この時、外側の収縮によりガラス全体に緊張状態が生まれ、最終的にガラスの内部まで冷却される頃には既に固体化している外側部分は内側・中心に向かって収縮。

急冷による収縮で外側部分には非常に大きな圧縮応力がかかり、核部分は引張応力の状態となります。これは強化ガラスが高強度を得る仕組みと同じ。

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緊張状態にあるガラスを駆け抜けるその衝撃速度は1658m/s(秒速1,658m)にもなります。

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偏光レンズを通してガラスを見ると、内部応力の違いが層になって見えます。中に含まれる泡は真空状態に。

この溶融させたガラスを冷水に落として作られる珍しいガラスは、17世紀にはヨーロッパのガラス工房でその存在が知られており、1661年にイギリスで行われた実験に立ち会ったカンバーランド公ルパートにちなみ命名され、「ルパートの滴」とも呼ばれています。

なんだかルパン三世が狙う宝石のような素敵な名前ですね。

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